顧客に悪感情を抱かせずに問題行動をなくす方法とは
ドリンクバーによくある問題行動をABC分析
動機づけ操作ときっかけ(弁別刺激)を駆使した予防策を解説
目次
1.ドリンクバーに見られる問題行動
2.問題行動のABC分析
2.1 動機づけ要因
2.2 きっかけ(弁別刺激)要因
2.3 行動レパートリー要因
2.4 結果要因
3.サイゼリヤの大胆な改善策を解説!
3.1 優れた動機付け操作
3.2 適切行動に促す弁別刺激
4. まとめ
1. ドリンクバーに見られる問題行動
学生時代大変お世話になったサイゼリヤ。
もちろん今現在も、小エビのカクテルサラダ&ミラノ風ドリアは私の定番です。
コスパが素晴らしく、友達同士で行くことも多いですね!
しかし気軽に行ける一方で、個人的に苦手だったのが、
ドリンクバーの飲み物を適当にぐちゃぐちゃに混ぜて楽しんでいる光景…
友達が席を立っている間に、飲めない状態にするというイタズラ。
これがキツイのなんの!
自分らのときも友達がやってたり、最近でも男子中高生の集団がやってるのをみかけました。
まあドリンクバーだけだったらマシなのかもしれませんが
粉チーズやらタバスコやら、砂糖、クリーム、ポーションなど。
使えるものをとにかく入れて混ぜる遊びが流行っていました。
エスカレートすると、
ストローの包みや紙ナプキンなど、
口にできないものまで入れる始末・・・
これはいただけない・・・
と、個人的に思っていたんですよね・・・
2. 問題行動のABC分析
ここで、この「ドリンクバーまぜまぜ行動」が何故増えてしまっているのか。
何が彼らをここまでまぜまぜ行動に没頭させるのか??!
について考えてみたいと思います。
動機づけ要因
・恐らく、彼らは暇なのでしょう。
・ツルみ自体に価値があるので、何かすることがあるわけじゃない
・でも長く一緒に良すぎるとマンネリ化
・刺激は全体的に足りてない
・仲間の自分への注目も足りない
・悪いこと=カッコイイ という価値観
・ドリンクバーの飲み物を混ぜるのは良くないことという価値観
きっかけ(弁別刺激)要因
・いかにも注目が引けそうないじられキャラ
・目の前には友達のグラス
・手元にはタバスコや粉チーズ
・目の前にはドリンクバー
・いじられキャラがトイレに立った!!今だ!!
行動レパートリー要因
・適切に仲間の注意を引くスキルがない
・面白い話題もない
・話術もない
一方で
・幼少期から培われたいたずらスキルは高い
・いたずらすれば大抵注意が引けることを知っている
結果要因
・友達の嫌がる反応が得られる
・他の友達も便乗する
・盛り上る
・話題の中心人物になれる
・「悪いことできる」俺カッコイイ
図にすると、こういう学習が成立してしまっている状態と言えますね。
この結果により、サイゼリヤで手持ち無沙汰になったら友達の飲み物にいたずらをする、という行動パターンが形成されていくわけですね。
ここまで分析したので、
いざ、この行動問題を解決するためのアイディアを出してみるとしましょう!!
動機づけ要因に対して・・・
・彼らを暇にしない
・適切に楽しめるアイディアを提供する
・「まぜまぜ」するのは普通のことよ、にする(価値を下げる)
・普通にカッコいいことしようぜ!という価値観
きっかけ(弁別刺激)要因に対して・・・
・適切に、楽しくおしゃべりする話題に溢れた環境を提供する
結果要因に対して・・・
・これは、どうしようもない・・・
・適切な話題や適切な行動でお互いに注目しあって楽しめる環境づくりをするしかない
次の項で、具体的なサイゼリヤさんの実践例を見ていきましょう!
3. サイゼリヤの大胆な改善策を解説!
では、今現在(2018.9月)のサイゼリヤさんの回答です!
この私の長年の問題意識に見事に答えてくれましたよ!!
まずは見てください。
これです。
#作って my Mocktail
す、素晴らしい〜〜〜!!
まあ、もっとも、これが「まぜまぜイタズラ対策」として導入されたのかは定かではないんですけどね。笑
私個人的には、これでかなりのまぜまぜイタズラ行動を予防できるのではないかと踏んでいます。
素晴らしいと感じる点を、挙げてみましょう。
- 「まぜまぜ」= 悪 の価値観を180度変えた!!
- なんかオシャレな雰囲気!デザイン!
- Mocktailって何!?”手垢”のついていない言葉選び
- 飲める状態のカクテルにするためのレシピの提供
- 操作する場所の真上にしっかりレシピを掲示
優れた動機づけ操作
これはもう見事としか言いようがありませんね。
なんと、「まぜまぜ」を公認化しちゃいました!
- 「え、全然いいよ、混ぜて〜」
- これによって、いたずら機能を無効化!
- 結果的に「悪い俺」演出にも失敗!
それに加えて、ポジティブな方向の演出にもなってます。
- カッコいいデザイン
- 耳慣れないワードを使って「イマドキ」感
- 新しい刺激!
- とっても作りたくなる
問題行動の対応として、ここまで思い切ってできることは少ない。
ぜひ、見習っていきたいものですね!
適切行動に促す弁別刺激
今回の問題行動である「飲めなくなるまで混ぜまくる」行動に対して、サイゼリヤが提供したのは「こうやって混ぜれば美味しく飲めるよ」という代替案!
そのために、しっかり飲める状態(しかも、さらに美味しいかも?)になるように研究された簡単なレシピを共有してくれています。
実際に作るサーバーにもしっかり掲示!
ここまで徹底して、ナンボです。
お見事!!
では、改めて
#作って my Mocktail
の作り変えた随伴性の図をご覧ください。
Before
After
ここまで書いていて、思ったのですが
「人ってばそもそも混ぜること自体好きなんじゃないの?」
ということです。
そこにも着目して今回のキャンペーンを考えていたとしたら・・・
関係ない購買層にも有効で・・・
ドリンクバーの売り上げも増加・・・
脱帽です・・・
実際どんな結果だったのか、気になりますね!!
追記
あと、今回のテーマとは別になるのですが、「暇つぶし対策」として優れていることで有名なのが、サイゼリヤの間違い探しですね!!
写真撮るの忘れちゃいましたが、結構難しくて、10個の間違いを見つけるまでに時間がかかる。
簡単に見つかるものから、じっくり見ないとわからないものまで。
動機づけ操作バッチリですね。笑
担当者さん、もし行動分析に通じている方であれば納得。
全然違う分野の方であっても、考え抜かれた優れた実戦というのは、行動の原理原則にマッチしたものであるなあ!
と改めて感じさせられた事例でした。
優れた実践の側に、行動原則あり!
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